top of page

内部統制を学ぶ実務担当者が参照したい公的資料・実務指針まとめ

  • 4月8日
  • 読了時間: 8分

はじめに

これまでの記事では、内部統制の基本的な考え方、4つの目的、6つの基本的要素、会社法と金融商品取引法の違い、上場会社に求められる内部統制の全体像、内部統制実施基準の改訂について解説してきました。

内部統制の実務では、解説記事や書籍で全体像をつかむことも大切ですが、最終的には、金融庁、企業会計審議会、日本公認会計士協会、e-Gov法令検索、東京証券取引所などが公表している一次資料を確認することが重要です。

特に上場会社の内部統制担当者、内部監査担当者、経理・開示担当者は、J-SOX評価、内部統制報告書、内部統制監査、会社法上の内部統制システム、コーポレート・ガバナンス対応など、複数の制度を横断して理解する必要があります。

本記事では、内部統制を学ぶ実務担当者が参照したい公的資料・実務指針を、用途別に整理します。


1. 内部統制の基本を確認する資料

内部統制の基本を確認する際に、まず参照したいのが金融庁・企業会計審議会の公表資料です。

このページでは、内部統制の基本的枠組み、経営者による評価、内部統制報告書、監査人による内部統制監査の考え方を確認できます。

内部統制の4つの目的や6つの基本的要素を確認する際にも、最も基本となる資料です。金融庁は2023年4月に、企業会計審議会が取りまとめた改訂意見書を公表しています。

実務担当者が最初に読む場合は、いきなり全文を読み込むよりも、まず次の部分を確認するとよいでしょう。

  • 内部統制の基本的枠組み

  • 内部統制の目的

  • 内部統制の基本的要素

  • 財務報告に係る内部統制の評価

  • 内部統制報告書

  • 内部統制監査

内部統制の全体像を理解したい場合は、この資料を「基準」として手元に置き、個別論点を調べるときに参照する使い方が向いています。


2. J-SOX実務で確認したい資料

J-SOX実務で参照しやすい資料として、金融庁のQ&Aと事例集があります。

まず確認したいのが、内部統制報告制度に関するQ&Aです。

このページでは、内部統制報告制度に関するQ&A等の改訂資料を確認できます。金融庁は2023年8月に、内部統制報告制度に関するQ&A等の改訂を公表しています。

また、実務上の具体例を確認したい場合は、内部統制報告制度に関する事例集も参考になります。

事例集は、内部統制評価の効率化や評価手続の考え方を確認する際に有用です。中堅・中小規模の上場会社や、内部統制評価の見直しを行う会社にとっても参考になります。

たとえば、次のような場面で参照するとよいでしょう。

  • 評価範囲の考え方を確認したいとき

  • 全社的内部統制の評価方法を確認したいとき

  • 業務プロセス評価の進め方を確認したいとき

  • サンプリングや運用評価の実務感を確認したいとき

  • 内部統制報告書の記載を検討するとき

  • 開示すべき重要な不備への対応を検討するとき

さらに、関連資料をまとめて確認したい場合は、金融庁の内部統制報告制度相談・照会窓口のご案内も便利です。

このページには、内部統制報告制度に関するQ&A、事例集、「内部統制報告制度に関する11の誤解」などへのリンクが整理されています。


3. 会社法・金融商品取引法を確認する資料

会社法の内部統制と金融商品取引法の内部統制を理解するには、e-Gov法令検索で条文を確認することが重要です。

会社法上の内部統制システムを確認する場合は、会社法を参照します。

会社法では、取締役の職務執行が法令・定款に適合することを確保するための体制や、会社・企業集団の業務の適正を確保するための体制が関係します。

また、会社法上の内部統制システムに関する具体的な事項を確認する際には、会社法施行規則もあわせて確認します。

金融商品取引法に基づく内部統制報告制度を確認する場合は、金融商品取引法を参照します。

内部統制報告書や内部統制監査報告書に関する様式や取扱いを確認する場合は、財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するための体制に関する内閣府令を確認します。

実務上は、条文を最初からすべて読むというよりも、次のように目的別に確認すると効率的です。

確認したい内容

参照する資料

会社法上の内部統制システム

J-SOX・内部統制報告書

内部統制報告書の様式・記載

有価証券報告書・確認書との関係

金融商品取引法、関連内閣府令


4. 内部統制監査を理解する資料

内部統制監査を理解するうえで中心となるのが、日本公認会計士協会の実務指針です。

この報告書は、監査法人等が財務報告に係る内部統制監査を行う際の実務指針です。経営者評価そのものは会社が行うものですが、監査法人がどのような考え方で内部統制監査を実施するのかを理解するうえで、内部統制担当者にとっても重要です。

日本公認会計士協会は、2025年2月に「財務報告内部統制監査基準報告書第1号『財務報告に係る内部統制の監査』の改正」を公表しています。

特に、次のような場面で参考になります。

  • 監査法人が評価範囲をどのように見るのかを理解したいとき

  • 内部統制監査と財務諸表監査の関係を理解したいとき

  • 不備の評価や重要性の判断を検討するとき

  • 監査法人との協議に備えたいとき

  • 内部統制監査報告書の記載を理解したいとき

なお、監査関連の公表物を一覧で確認したい場合は、監査実務指針等 公表物一覧も確認しておくと便利です。


5. 監査基準報告書で確認したい資料

内部統制監査そのものに限らず、財務諸表監査の中で内部統制がどのように扱われるかを理解するには、日本公認会計士協会の監査基準報告書も参考になります。

監査基準報告書315は、監査人が企業と企業環境を理解し、重要な虚偽表示リスクを識別・評価する際の考え方を示す資料であり、内部統制の理解とも密接に関係します。

監査基準報告書265は、財務諸表監査で識別した内部統制の不備について、監査役等や経営者とどのようにコミュニケーションを行うかに関する実務上の指針です。

内部統制担当者にとっては、監査法人から内部統制上の指摘を受けた際に、どのような位置づけのコミュニケーションなのかを理解する助けになります。


6. コーポレート・ガバナンス関連で確認したい資料

内部統制は、J-SOXや経理・内部監査だけの論点ではありません。上場会社のコーポレート・ガバナンス、取締役会、監査役等、リスク管理、コンプライアンスとも密接に関係します。

東京証券取引所は、実効的なコーポレートガバナンスの実現に資する主要な原則として、コーポレートガバナンス・コードを定めています。

プライム市場・スタンダード市場の上場会社はコードの全原則について、グロース市場の上場会社は基本原則について、実施しないものがある場合にはその理由を説明することが求められます。

内部統制担当者がコーポレート・ガバナンス関連資料を確認する場面としては、次のようなものがあります。

  • 取締役会の監督機能を確認するとき

  • 監査役等との連携を整理するとき

  • 内部監査体制を見直すとき

  • リスク管理やコンプライアンス体制を整備するとき

  • 事業報告やコーポレート・ガバナンス報告書との関係を確認するとき

内部統制は、財務報告だけでなく、ガバナンス全体の中で位置づけて理解することが重要です。


用途別:どの資料から読むべきか

内部統制に関する資料は多いため、最初からすべてを読む必要はありません。目的に応じて、次のように使い分けるとよいでしょう。

目的

最初に確認したい資料

内部統制の基本を理解したい

J-SOX評価の実務を確認したい

会社法と金商法の根拠を確認したい

内部統制監査の考え方を知りたい

監査法人のリスク評価を理解したい

内部統制の不備に関する監査法人とのやり取りを理解したい

ガバナンスとの関係を整理したい


参考リンク一覧

最後に、内部統制実務で参照しやすいリンクを一覧にまとめます。


まとめ

内部統制の実務では、解説記事や社内資料だけでなく、公的資料や実務指針を確認することが重要です。

特に上場会社の内部統制担当者は、次の資料を押さえておくとよいでしょう。

  • 金融庁・企業会計審議会の基準・実施基準

  • 金融庁の内部統制報告制度Q&A

  • 金融庁の内部統制報告制度に関する事例集

  • e-Gov法令検索の会社法・会社法施行規則・金融商品取引法

  • 内部統制府令

  • JICPAの財務報告内部統制監査基準報告書第1号

  • 監査基準報告書315

  • 監査基準報告書265

  • JPXのコーポレートガバナンス・コード

内部統制は、制度、会計、監査、法務、ガバナンス、ITが交差する領域です。

そのため、必要なときに一次資料へ立ち戻れるようにしておくことが、実務対応力を高めるうえで重要です。


コメント


まずはお気軽にご相談ください

電話またはメールでいつでもお問い合わせください。

bottom of page